六ツ鹿家の女たち

ダリアの咲く季節に養女になった6人。
お母さまは思い出の破片をかき集める。
私たちをここから逃がさないために──


1話 道草物語

─ダリアの家
ある日・・・

「・・・起きて・・・、ねえ・・・!
 おそ子!・・・起きて!・・・
 ・・・ねえってば・・・!」

チョロ子
ねえ、一子がもう行っちゃうよ。
何、うたた寝してるのよ?ほら・・・!

『私の名前は、おそ子。

この『ダリアの家』で、
新しい家族になってくれる人を
待っているの─』

一子
おそ子ちゃん・・・!

おそ子
一子ちゃん、おめでとうっ。
新しいお家が、決まったんですってね!

一子
おそ子ちゃん・・・!
私・・・

おそ子
ほら~、そんな顔しないのッ!
せっかくの服が台無しよ~?
元気でね、一子。

一子
・・・うん。

「さあ、行くよ」
(・・・バンッ)車のドアの音

(ブゥロウン・・・!)

十四子
一子ちゃ~ん!あ゛~ん!

カラ子
元気でねー!!一子ーッ!!

・・・・・・・・・

十四子
あ~あ・・・行っちゃった・・・
一子ちゃ~ん゛ん゛・・・

カラ子
十四子・・・。元気だしな、ね?
あたしのオヤツ半分あげるから!

十四子
うん・・・。あ゛りがとっ・・・。

(・・・ブゥロウン・・・)
(・・・キーッ)

チョロ子
あれ?別の車が玄関前についたよ。
なんだろ。

おそ子
あ・・・!トド子ちゃん!?
どうしたの!?

トド子
へへッ。戻ってきちゃった!
みんなと一緒にいたくって。

「きゃー、トド子ちゃん・・・!」

『私達は別々に生まれたけれど
 心は本当の姉妹・・・
 みんな、一緒・・・!

 いつしか、
 「絶対に離れたくない」
 そんな気持ちが強くなっていった。』

─数日後

十四子
あー・・・!!一子ちゃん!?
一子ちゃんだーッ!!

カラ子
どうしたの!?

一子
うん、ちょっとね。
イタズラをしてやったの。

チョロ子
ええ~?大人しい一子ちゃんが!
何やったのよ?
あんた、意外とやるのねー?

一子
そんな事ないわよ。
みんなの所へ戻りたかっただけ。

おそ子
おかえり、一子ちゃん・・・!

『誰かの里親が決まっても、
 数日も経たずに戻ってきてしまい

一子
ただいま。
帰ってきちゃったわ。
おそ子ちゃん・・・!

 私達の幸せな日々は
 永遠に続くと思っていた。』

─ある日

寮母
新しく行くお家が決まりました。
お迎えが来ますから、準備をしなさい。

十四子
えー!?誰のッ?
私達、絶対に離れないんだからッ!

寮母
あなた達、6人全員ですよ。

トド子
ええ?私達、全員っ!?


2話 爆音島

─翌日

『思いがけない出来事が起きた。
 私達6人全員を養女にするという人が
 現れたというのだ。』
お母さん
今日から、私があなた方の
お母さんですヨン。

寮長
みなさん。
六ツ鹿家はこの村でも
有数の名家なのですじょ。

寮母
ダヨ代さんは六ツ鹿の当主で、
跡継ぎの娘さんを必要とされているんです。

寮長
あなた方は今まで別々の生まれで
ここで偶然出会ったと思われていたんだじょ。

寮長
ところが調べたところ、みなさんそれぞれが
六ツ鹿の家との縁故があった事が
わかったのですじょ。

お母さん
今日から、私の事は
「お母さま」と呼ぶのですよ。

お母さん
今日からあなた方6人は、
六ツ鹿の家の姉妹です。

お母さん
お互いの事は「ちゃん」づけでなく
「お姉さま」「〇〇さん」と
呼ぶのですよ。わかりましたね。

おそ子
はい、お母さま。

カラ子
はい、お母さま。

チョロ子
はい、お母さま。

一子
はい、お母さま。

十四子
はい!お母さま。

トド子
はい、お母さま。

寮母
もう、戻ってくるのではありませんよ。
六ツ鹿の家で幸せになるのです。

『こうして、私達6人は
 姉妹として六ツ鹿のお屋敷で
 暮らすことになったのでした。』


3話 ささみ雪

─六ツ鹿の屋敷

おそ子
・・・すごいお家ね・・・。

カラ子
沢山、絵が飾ってあるわね。

チョロ子
高そうだね。

一子
うん。

十四子
すごい、綺麗な花が咲いてるー!
何の花かなー!

トド子
あ、本当だ。きれいー!
6つ咲いてるんだ。

お母さん
あなた方を迎えるために、
6輪の花が咲いたのですよ。

お母さん
6は特別な数字。

お母さん
さあ、ここがあなた方の
お部屋ですよ。

チョロ子
うわ、可愛いお部屋ー!

お母さん
チョロ子さん、はしたないですよ。

チョロ子
あ、ごめんなさい!お母さま。

お母さん
あなた方に約束して頂く事があります。

お母さん
まず、ここの家にある
二組の三連祭壇画(トリプティック)は
決して数えてはいけません。

おそ子
はい、お母さま。

お母さん
それから、ここの家にある
大きな姿見のある部屋には
決して入ってはいけません。

カラ子
はい、お母さま。

お母さん
飾っていない絵を保管している
納戸(なんど)がありますが、
そこも決して入ってはいけません。

チョロ子
はい、お母さま。

お母さん
家の中で何か動物の鳴き声がしても
決して探してはいけません。

一子
はい、・・・お母さま。

十四松
お約束が多いね?

トド子
しッ・・・!

お母さん
昔いた子供の物が色々ありますが、
決して触ってはいけません。

十四子
はい!お母さま。

お母さん
私が顔にけがをする事があっても
決して見てはなりません。

トド子
はい、お母さま。
でも・・・

お母さん
トド子さん、質問もなりませんよ。

トド子
はい、お母さま・・・。

『こうして私達6人は
 そろって念願の姉妹となる代償として
 六ツ鹿の禁忌とやらを課せられたのでした。』


4話 ダルい家の三姉妹

─ある晩

カラ子
お母さま?・・・お母さま?

チョロ子
どうしたのカラ子姉さま。

カラ子
お母さまが、いらっしゃらないの。

トド子
まさか、覗いてはいけないという
上の階のお部屋では・・・

十四子
(ゴクッ・・・)だめだよ、トド子ちゃん。

チョロ子
ことば遣いっ!

十四子
あ、トド子さん。駄目よ・・・

おそ子
お母さまが上のお部屋だとしても
待てばいいの。
仕方がないじゃない。

カラ子
そうね。行ってはいけないんですもの。

「・・・ホホホホホホホ・・・!!」

チョロ子
今の・・・

一子
お母さまの笑い声みたいだったわね。

十四子
誰か・・・いるのかしら!?

「・・・ホホホホホホホ・・・!!」
「・・・ら~らら~・・・♪」
「・・・光に・・・照らされて~・・・♪」

チョロ子
・・・今度は、歌ってる・・・?

おそ子
いい事でもあって機嫌いいんじゃない?
タイミングがあれば、
聞いてみましょう。お母さまに。

トド子
あ!・・・また・・・・!
こんな所に赤ちゃんのオモチャが。

カラ子
・・・昔、ここの家に子供がいたって
言ってたよね・・・。

十四子
う゛ん!言ってた!言ってた。昔って!
十四子、覚えてるもん!
・・・・・・今も、いるのかな?

一子
いたとしてよ?
なんで隠すのかしらね。

・・・・・・・・・・・・。

チョロ子
いたとしても、怖いィいいいいい!!!

トド子
いなかったとしても、
それも怖いィいいいいい!!!


5話 総毛の三姉妹

─ある日

お母さん
みなさん、今日はお客様がお見えになります。
きちんとお行儀よくするのですよ。

カラ子
お母さま。私、お洋服がキツイみたい。
新しいお洋服が欲しいわ。

お母さま
おやおや、近頃の子は発育ばかり良くて
いやらしいわねえ!

チョロ子
お母さま、お言葉ですけど
たぶん、私達もう立派な大人・・・

お母さん
何を言うんです。
くちばしの黄色いひよっ子が。
あなた方に何が出来て?

お母さん
色とりどりの下着は没収しましたよ。
あんなに小さな下着を身に着けて。
下着は白のズロースでなければ。

お母さん
お洋服がきつかったら、
しっかり乳バンドで押さえなさい。
わかりましたね?

カラ子
はい・・・お母さま。

十四子
お母さまこわーい・・・!

(・・・ブロロロン・・・)
(・・・キーッ・・・)

一子
見て?外・・・。車が止まったわ。
お客様って誰かしら。

「ごめんくださーい」

お母さん
いらっしゃい、お揃いで。

1番目の叔父
可愛い姪御が出来たって?
気になるヨン。

2番目の叔父
どれどれ、どんなに可愛いんだ?
6人もなんて最高じゃないかヨン!

3番目の叔父
目出度いなあ、可愛いお花さん達は
どこだヨン、姉さま。

4番目の叔父
6人姉妹というのは本当なのかヨン?
だとしたら大変な事なんだヨン。

5番目の叔父
純粋な姉妹でなくても、いいんだヨン。
人間はいればいるほど、いいんだヨン。
6はパワーのある数字なんだヨン。

6番目の叔父
オリさんは、すぐ又そんな事を言う・・・
みんな食べると思って、
美味しいプリンを作ってきたヨン!

2番目の叔父
食べるヨン!!

3番目の叔父
食べたいヨン!!

6番目の叔父
みんなの分じゃないヨン!
姪御ちゃん達の分だってばヨン!

3番目の叔父
お前は、また店のエプロンつけたままだヨン!

6番目の叔父
うるさいヨン!
戻ったら又、店の仕事があるんだヨン!
兄さん達の分なんか無いんだヨン!

1番目の叔父
またまた、そんな事言って・・・!
本当は全員の分があるんだヨン!
ほら!

6番目の叔父
あはは~、バレたヨン!

お母さん
お前達が揃うと、
本当にやかましいヨン!

3番目の叔父
姉さままで、つい語尾が元に戻ってるヨン。

お母さん
うるさいヨン!!

おそ子
・・・・・・。

チョロ子
なんだか、お母さまも変な話し方してるね。

一子
同郷が集まると言葉が変わるって
そういう感じのやつじゃない?
どこの言葉か知らないけど。


6話 ヴァージン・スリーサイズ

─六ツ鹿家の広間

お母さん
私の6人の弟で、
あなた方の叔父にあたる人達です。
ご挨拶なさい。

おそ子
長女のおそ子です。
はじめまして、叔父さま。

カラ子
次女のカラ子です。
はじめまして、叔父さま。

チョロ子
三女のチョロ子です。
はじめまして、叔父さま。

一子
四女の一子です。
はじめまして、叔父さま。

十四子
五女の十四子です。
はじめましてー!叔父さま!

トド子
六女のトド子です。
はじめまして、叔父さま。

6番目の叔父
みんなプリン食べるかヨン!

おそ子
美味しい!

カラ子
美味しい~!!

チョロ子
美味しいね。

一子
美味しい。

十四子
すっごーい!美味しい!!

トド子
美味しいです!!

2番目の叔父
本当に美味しいなあ!

6番目の叔父
あははは、良かった良かった。
また作ってあげるヨン。

お母さん
あまり甘やかさないでくださいヨン。

2番目の叔父
甘やかしてるんじゃないヨン!
可愛がってるんだヨン!

4番目の叔父
そうだヨン。ダヨ代お姉さまは、
性格がキツイんだヨン。

お母さん
おだまりッ!!

5番目の叔父
うーん。
やっぱりモデルのサンプル期間が
短すぎたんだヨン。

1番目の叔父
私達の事を偉く嫌ってたしなあ!
モデルの性質の攻撃的な所ばかりを吸収して
あんな感じになったのかもヨン。

3番目の叔父
可愛いお花ちゃん達が大丈夫か、
心配になってきたヨン!

お母さん
うるさい事を言うと追い返すヨン!

おそ子
お母さま、それ何?

お母さん
いやな客を追い返すおまじないだヨン!
うしゃしゃしゃしゃしゃ!!

チョロ子
ひいいいいいい~~~~!!!

5番目の叔父
うーん。
かなり調子が悪そうだヨン。

4番目の叔父
オリさん、なんとか出来ないの?
これじゃこの子達が可哀想だヨン。

5番目の叔父
うーん。この前の時よりも
具合が悪くなるのが早いだヨン。

十四子
あっれー?この叔父さまの方が、
こっちの叔父さまよりもお兄さんじゃないの?
どうして、お兄さんって読んでるのお?

6番目の叔父
ははは、お兄さんじゃないヨン。
オリジナルだから
「オリさん」って呼んでるんだヨン。

カラ子
オリジナル?
「オリさん」・・・?

お母さん
質問をしてはいけないと言ったヨン!
うしゃしゃしゃしゃしゃ!!

カラ子
ご、ごめんなさい!お母さま!

1番目の叔父
姉さん、落ち着くんだヨン!

『叔父さま達の話では、
 お母さまは時々こんな風に
 具合が悪くなってしまうのだそうです─』


7話 フライドチキンと偏見

─六ツ鹿の玄関前

4番目の叔父
私はもう帰らないと・・・
そういえば、教会の方はどうなったんだヨン?

5番目の叔父
次は神社みたいなのを
作ってみようかと思っているんだヨン。
教会では交信が出来なそうなんだヨン。
4番目の叔父
何か参考が必要な時は言ってくれヨン。

5番目の叔父
やはりサンプルが足りないヨン。
人間を増やさなくてはいけないヨン。

6番目の叔父
やっぱりそうなのかヨン。

4番目の叔父
サンプルが足りないと難しいんだヨン。
やっぱり色々と。
それじゃあ、情報を・・・

2番目の叔父
そうだ、そうだ。
情報をまとめないと・・・!

(ビヨビヨビヨビヨビヨーン)

おそ子
な、なんか円陣を組んで頭同士を
くっつけてる・・・!?

カラ子
何をしてるの!?そのまま動かないけど・・・

チョロ子
この音、何??頭・・・イタッ・・・!

十四子
案外、宇宙と交信?とかしてるとか!

一子
あー、本当にそんな感じかも。
なんか。

トド子
何!?なんの宗派!?
大丈夫、ここの村ーーーッ!?

5番目の叔父
・・・さて、私は先に帰るヨン。
このままだとすぐに準備が
必要になるかも知れないヨ~ン!

チョロ子
神社とかそんなに簡単に
ポコポコ建つの?
この一族、相当なリッチね。

おそ子
チョロ子さん、しッ!
お行儀が悪いわよ。

4番目の叔父
心配だなぁ。でも帰らないと・・・
・・・お前が一番すぐに、
ここに来られるのかヨン?

6番目の叔父
そうかもしれないヨン。
またオヤツでも作ってくるヨン!

4番目の叔父
姪御ちゃん達の事を頼むヨン。
ちゃんと見ていてあげて欲しいヨン。

4番目の叔父
オリさんも、今度は何を考えてるのか・・・
他に頼めないヨン。
だから、頼むんだヨン。あなたに。

6番目の叔父
わかったヨン、兄さん。
・・・うちの店、よく駐在さんも来るしね。

6番目の叔父
君達、他に何か困ってる事ないかヨン?
もう帰るけど、何かあったら言うんだヨン。

一子
ありがとう、叔父さま。

3番目の叔父
うちのね、
庭にきれいな六角形の花が咲くんだヨン。
今度、見に来るといいヨン。

十四子
ありがとう、叔父さま!
十四子、そのお花見たいー!

1番目の叔父
うちの子ね、
最近タクシー運転手になりたいって
言うんだヨン。楽そうだって、ははは。

2番目の叔父
うちのはね、ライターになりたいと
言ってるヨン。面白いね。はっはっは。
家でも編集長って呼ばれてるよ。

トド子
叔父さま?その六角形の花って、
名前はなんていうの?

3番目の叔父
名前かい?
その花の名前はマツムシソ……

1番目の叔父
なんだってっ!?マ!?

2番目の叔父
マツって言ったかッ!?

4番目の叔父
お前こそ!今、マツって言ったヨン!
・・・あ!わたしも言ってしまったヨン!?

6番目の叔父
縁起でもない!!
出たら大変なんだヨン!!
口を慎めヨーン!!

2番目の叔父
誰が「マツ」って言ったんだッ!?

4番目の叔父
お前が今「マツ」って言ったヨン!
・・・あ!
わたしもまた言ってしまったヨン!?

3番目の叔父
うるさいヨン!
これ以上「マツ」って言うんじゃないヨン!!

6番目の叔父
本当にこれ以上、言うのやめてくれヨン!?
怖いヨン!!怖いヨン!!

カラ子
何を怖がってるのッ!
怖いんだけどーッ!?

『叔父さま達が、
 何をそんなに恐れているのか
 さっぱりわかりませんでしたが

 私達6人が心配されているのは
 わかりました。

 そして、その日を境にして
 お母さまの様子は日増しに
 おかしくなっていったのです。』


8話 海松diary

─六ツ鹿家・夜

「・・・ぎゃあああああああああ!!!」

チョロ子
最近、お母さまおかしいよね。

一子
最初から変といえば、変だけどね。

おそ子
・・・すごい声だわ。
お母さま大丈夫なのかしら・・・。

チョロ子
ちょっと、おそ子姉さま?
まさか上へ行こうとしているの?

十四子
やめた方がいいよぉ、おそ子ちゃん~!

おそ子
ちょっと様子を見るだけ。
・・・(ギッ・・・ギッ・・・)

一子
階段が鳴ってる・・・。
本当に古いのね。
手入れはしてあるけど。

おそ子
・・・はっ。
・・・鹿の角が生えた人の絵・・・
正面に、1、2・・・3・・・

おそ子
駄目、数えちゃ・・・!
う、後ろに・・・1,2・・・3、
・・・4!?・・・・・・お母さま!?

お母さん
おそ子さん、数えてはいけないと
言いましたよ

おそ子
ぎゃあああああああ!
お母さま、ごめんなさい!
お母さま、ごめんなさい!

カラ子
おそ子・・・!どこ!?
大丈夫!?どこ!?

カラ子
はッ・・・ここは姿見のある部屋・・・
箪笥(タンス)の上に写真が・・・

カラ子
うわ、びっくりしたーーーッ!?

お母さん
お母さまも昔は、
こんなに綺麗だったんだよ。
オホホホホホホホ。

お母さん
六ツ鹿の家の女という事は、
お前も私みたいになるんだろうけどね!
この村の顔になるんだよ!ははははは!

カラ子
ぎゃあああああああ!
お母さま、ごめんなさいー!

チョロ子
わあああ!!!・・・
お母さま、ごめんなさいー!

十四子
チョロ子姉さま、何してるのッ!?

一子
きゃーーーーー!!
お母さまが赤ちゃんを・・・!!
・・・に、人形・・・?

お母さん
可愛くて食べてしまいたいヨン!
オホホホホホホホ!
あんまり美味しくないわねえ・・・!!

一子
ひいいいいいいいい!!!

十四子
あ!また赤ちゃんのオモチャが・・・

お母さん
私のですよ。
オホホホホホホ!(ちゅぱちゅぱ)

オホオホホホホホホ!

トド子
・・・・・・。
あの部屋、絶対に何か秘密が・・・

トド子
・・・はッ!

トド子
・・・お母さま!?
お顔を・・・どうされたの!?

お母さん
見てはいけないといっただろう・・・?
ふふふふ・・・

カラ子
気になるわ。やっぱり。もし・・・
あの部屋に赤ちゃんがいたら心配。
お母さまがあんな様子じゃ・・・。

トド子
・・・・・・・・・。

トド子
カラ子ちゃん、私、行ってみる。

チョロ子
え!大丈夫?

トド子
もう限界よ。秘密を暴いてやるわ。
この家の跡取りなんて
どうでもいいわ・・・!

(・・・ギィイイイイイイ・・・)

トド子
・・・真っ暗だわ・・・。
・・・(カサッ)・・・箱?
この箱、・・・何かしら?

・・・・・・。(・・・ズルッ・・・!)

トド子
・・・!
・・・部屋の奥に誰か・・・?

・・・トド・・・子さん。
・・・・・・。(・・・ズルッ・・・!)
(・・・ズルッ・・・!)

トド子
・・・お、・・・お母さま・・・?


9話 あご出汁の季節

「ぎゃあああああああああ!!!」
「見たなああああああああ!!!」

十四子
トド子ちゃん!?あの部屋に入ったの!?

トド子
・・・お母さま・・・?
お母さまが・・・他にもいた・・・!!
暗くて・・・良く見てなかったけど・・・!

チョロ子
何言ってるんだか、
全然わからないよッ!?

トド子
・・・あとこれ、この箱の中!見て!!
見覚えないッ・・・?

おそ子
・・・あーー!これ!?
私の・・・写真証と定期券!?

お母さん
ダメだヨン。
こんな物は・・・!!存在しないんだヨン。

トド子
きゃーー!危ない!!

おそ子
お母さま!きゃーーーーッ!!

(ゴロゴロゴロゴロゴロッ!!)

チョロ子
きゃあああああああ!!

一子
きゃーーーーー!!

カラ子
お、お母さま・・・!?

十四子
やだーッ!!どうしようーッ!!
お母さまーッ!!

トド子
か、体がねじ曲がってる・・・
し、死んでる・・・?

チョロ子
首が、反対を向いてるね。
もうだめだよー!これーッ!?


10話 こし餡と偏見と雑煮

(ガチャッ・・・)

おそ子
あ!誰か玄関から入ってきたわ!
隠れて!!

カラ子
あうっ・・・・・・!

チョロ子
し!・・・・

一子
あ、あれは・・・。

十四子
叔父さま・・・。

トド子
何か、大きな袋を持ってる・・・。

チョロ子
ど、どうするのっ!?

カラ子
・・・あ、死体を袋に入れてる・・・!?

一子
どうするつもりかしら・・・?

チョロ子
証拠隠滅?

おそ子
なんの!?

チョロ子
私達の?
いや、わかんないけどね。

・・・・・・。(ジーッ・・・)

おそ子
し!・・・こっちの方を見上げてる・・・。

「あら・・・」

お母さん
早かったのね。

カラ子
えーーー!?ええーーー!?
どういうことなのおーーーッ!!

チョロ子
ぎゃああああ!!出たーーー!!

一子
あわわわわっわわ!!

十四子
ええ゛ー!!なんでー!?
どうして!?え?え?
わかんないーーー!!

トド子
あれは・・・。新しいお母さん・・・?

「ぎゃああああああああああああ!!!!!!」

(ガチャッ!・・・バタンッ!!)

カラ子
失礼しましたーーーーーッ!!
なにあれ!こっわ!こっわーーーー!!

チョロ子
ぎゃああああ!!出たよーーー!!

カラ子
ちょっとお!?どういうこと!?

チョロ子
やっぱり、気のせいにしては
おかしいと思ってたんだよね。

一子
山に登ったわよね、私達。

十四子
そうそう!トド子の会社の人とー!
ちょっと無理やり荷物持ってもらって
悪いかな~って思ってたけっどー!?

トド子
そ・・・そうよ!?そうだわ・・・
どうしてこんな所にいるの?

おそ子
・・・・・・逃げようか。

一松
その方が良さそうね。

ぎゃああああああああ!!!!!!!


11話

トド子
きゃッ!枝が・・・!痛ッ!!

カラ子
ちょっとお!?わかってたけど!
外真っ暗よお~!?
こっわーッ!こっわっいーーーッ!!

チョロ子
月も出てないわね?曇り!?

一子
この湿度・・・ひと雨降りそうね。
困ったわね。

トド子
あーん、どうしてこんな事に・・・!
か、会社は・・・
今日、何日・・・?

十四子
無断欠勤ーッ?いったい何日間ッ!?
どんだけここの村にいたのーッ!?
あたし達ーッ!?

(・・・ポツ、ポツ・・・)
(ザアアアアアア・・・・・・)

カラ子
ぎゃあああ~~~~!!!
土砂降りじゃないっ!?
誰も傘持ってきてないのーッ!?

おそ子
あ~ん、カラ子!
落ち着いて?あんただけじゃないの。
みんな一緒だからッ!ねっ?

チョロ子
あ、あっちの方。見て。
なんか、来るよ。

(・・・・・・・・・)

カラ子
えッ!?何ッ!?なんか光ってる!
ちょっとッ!あんた脅かすつもりィッ!?

一子
ドスの利いた声で怖がらないで。
よく見て。車じゃない?

おそ子
あ!本当だッ!

トド子
・・・タクシー?

(ブゥウロウン・・・・・・)
(・・・・・・キキーッ・・・)

カラ子
ちょっと!乗せてッ!!
ずぶ濡れなのよッ!!早くッ!

トド子
カラ子、ちょっと待って・・・。
(ゴクッ)・・・誰が乗ってるのか
確認しないと・・・。

チョロ子
そうよ、そうよ。
そうじゃないと逆ルートッ!
・・・誰?

十四子
誰、誰ッ!?運転してるのーッ!
イケメンのひっとーッ?

(・・・ガチャッ)

一子
・・・叔父さま・・・?

一番目の叔父
・・・どうしたんだヨーン!?
風邪ひいちゃうヨーン!

一番目の叔父
とりあえず乗るんだヨーン!
風邪ひいちゃうんだヨーン!

おそ子
乗ろう、みんな。

十四子
うん!叔父さま!ありがとう!

トド子
ちょっと待って!?
全員乗れないよ・・・!?

チョロ子
後ろ無理やり4人乗るとして・・・
あと一人、・・・トランク?

カラ子
ちょっと!?なんで私の方見るの!?
そんな狭くて暗い所、絶対イヤッ!!

カラ子
叔父さまがトランクに
乗ればいいんじゃない!?

1番目の叔父
ダヨーンッ!?

一子
ダメよ。
叔父さまには運転してもらわないと。

十四子
あーん、そっかぁー。

トド子
わかった!
私が助手席の足元に乗るから!
おそ子ちゃん足開いて!

おそ子
えーッ!!わ、わかった・・・!

トド子
よっこいしょ・・・!
これで、よし!っと!

一子
助手席のドア、閉めるわよ。
(バンッ・・・!)

トド子
叔父さま、車出して!

カラ子
ちょっとーッ!叔父さま様!
車の中、もんの凄ッく蒸すんだけど!?
エアコン入れて!?

チョロ子
人口密度が高いし。
窓、曇っちゃったね。・・・ムフフ。

トド子
エアコンの調子が悪いのかしら?
(ガチャ、ガチャ・・・)
ダメ~、全然変わらないわ。

1番目の叔父
窓を開けるヨーン。
・・・六ツ鹿の家には帰らないのかヨーン?

おそ子
無理無理無理無理、ぜったい無理!

カラ子
帰らない。

チョロ子
帰りたくない。

一子
帰るわけないわよね。

十四子
うん!絶対に帰りたくない!

トド子
やだ!絶対に戻りたくない!

1番目の叔父
・・・六ツ鹿のお母さんが
怖かったのかヨーン。

おそ子
お母さん、怖いッ!!

カラ子
お母さん、怖いッ!!

一子
お母さんというか、
お母さん達というか。
色んな意味でね。この状況とか・・・。

トド子
・・・まさか・・・私達・・・
・・・この村から出られないの?

1番目の叔父
・・・わからないヨーン。
行ける所まで、行ってみるヨン。

・・・あれ、見ちゃったのかヨン。
・・・・・・。
酷い雨だヨーン。

(・・・ザアアアア・・・・・・)
(・・・・・・ザアアアア・・・)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

『六ツ鹿家の女たち』
─おわり─




マニアックデカ シリアルキラーがいっぱい!

この息子・・・全員刑事・・・! ──連続殺人犯に立ち向かうのは、7人の殉職ギリギリ刑事(デカ)!! 7人の犠牲者で完成するのは・・・── 1話 エイリアンさん ─アーカツカ近郊の山道 (・・・ブロロロウゥン) イヤミ 可愛いペットヒツジも手に入れ...